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寝る前のカフェイン・飲酒はなぜ眠りを乱すのか|睡眠医学の視点から解説

目次

寝る前のコーヒーと寝酒は何が違う?─カフェインとアルコールの睡眠への作用

「寝る前にコーヒーは避けたほうがいい」「お酒は眠りを浅くするらしい」。
よく耳にする話ですが、実際には カフェインとアルコールでは睡眠への影響の仕方がまったく異なり、どちらも“時間帯と量”で作用が変わる という特徴があります。

仕事や家事で疲れた夜に、ついコーヒーを飲んだり、寝酒に頼ったりする行動は珍しくありません。
しかし、これらは 入眠しにくくなる、深い睡眠が減る、夜中に目が覚めやすくなる といった形で、睡眠の質に影響を与えることがあります。

本記事では、睡眠医学の視点から
「なぜ寝る前のカフェインや飲酒が睡眠を乱すのか」
その仕組みと、日常生活での上手な調整方法をわかりやすく解説していきます。

カフェインと飲酒の結論|睡眠を乱すのは「量」より「時間帯と習慣」

  • カフェインは“覚醒を維持する仕組み”に作用し、夕方以降の摂取は寝つきを悪くすることがある。
  • アルコールは入眠を助けるように見えて、深い睡眠を減らし、夜中に目が覚めやすくする。
  • どちらも“量・時間帯・個人差”で影響の出方が大きく変わる。
  • 夕方〜夜はカフェインの控えめな使用、寝る前の飲酒は習慣化しないことがポイント。

なぜ眠れなくなるのか|カフェインとアルコールが睡眠構造を乱す仕組み

1)カフェイン:脳の「眠気物質」と競合するしくみ

カフェインは、脳内の アデノシン受容体を一時的にふさぐことで覚醒作用を示す とされます。
作用時間には個人差がありますが、一般的には4〜6時間前後作用が残る といわれています。

  • 夕方以降のカフェインが寝つきに影響しやすい
  • 代謝速度の違いで“影響が出る人/出ない人”の差が大きい

これが「午後のコーヒーが眠りに響く人」と「夜でも大丈夫な人」の違いです。


2)アルコール:入眠は促すが、睡眠の質を弱める

アルコールは一時的にリラックスをもたらし、寝つきが良く感じられることがあります。
しかし睡眠医学では、以下のような変化が知られています。

  • 深い睡眠(徐波睡眠)が減りやすい
  • 夜中の覚醒回数が増えることがある
  • 利尿作用で睡眠が分断されやすい
  • 代謝段階で交感神経が働きやすくなる

つまり、入眠はしやすくても 睡眠全体の質は下がりやすい という特徴があります。

また、寝酒が習慣化している場合、
「寝つきは良いが、夜間の質が下がり続ける」ことに気づきにくい
という点が臨床的に重要です。


3)個人差の大きさ

カフェインもアルコールも、作用が

  • 体質
  • 代謝酵素の違い
  • 習慣
  • 年齢
    などにより大きく変わると言われています。

そのため、“一般的にはこうなる傾向がある” という理解が適切


4)共通している点:睡眠構造を乱しやすい

2つの物質は作用点こそ違いますが、

  • 入眠のタイミング
  • 深さ
  • 夜間覚醒の頻度
    といった 睡眠アーキテクチャに影響する という点が共通しています。

睡眠医学では、「就寝前の刺激物は調整する」ことが基本的な推奨です。

今日からできる|カフェインと寝酒を“睡眠の敵”にしない調整法

1)カフェインは「自分の効き方」を把握する

カフェインの影響には個人差があります。
まずは 自分がどの時間帯まで飲んでも眠りに影響しないか を観察し、
“午後のコーヒーが効きやすいタイプかどうか” を把握することが大切です。

一般的には、
夕方〜夜の時間帯は控えめ にすると、安全域が広がります。


2)夕方以降は“デカフェ・カフェイン弱め”に切り替える

夕方以降は、

  • デカフェコーヒー
  • カフェインレス紅茶
  • ハーブティー
    などに切り替えることで、睡眠への影響が少なくなります。

「完全にやめる」必要はなく、
切り替えるルーティン をつくるだけで効果が出やすいポイントです。


3)寝酒は“寝つき目的”にしない

アルコールは寝つきをよく感じさせますが、
深い睡眠を減らし、夜中の覚醒が増えやすい という特徴があります。

  • 寝る直前の飲酒は控える
  • 「寝酒として習慣化しない」ことを第一に
  • もし飲むなら、就寝までに数時間の“間”をとる

これらの工夫で、睡眠への影響を最小限にできます。


4)飲むなら「量 × タイミング」を調整する

アルコールの影響は、量と時間帯で大きく変わります。
寝る前に近い時間での飲酒や、量が多いほど、睡眠は乱れやすくなります。

  • 少量であれば影響は軽い場合もある
  • 就寝の3時間以上前に終えると負担が少ない

“飲むなら早め・少なめ”を基本にすると、睡眠を崩しにくくなります。


5)両方とも“毎日の習慣”にしない

カフェインもアルコールも、
睡眠に影響しやすい「刺激物」 であるという点が共通しています。

  • 夕方以降のカフェイン
  • 寝酒の習慣

これらが毎日のルーティンになるほど、
睡眠の質が気づかないうちに変化していくことがあります。

日常では、
「必要な日だけ」「状況に応じて調整する」
くらいの距離感がちょうどよいバランスです。

Q&A カフェイン・飲酒と睡眠のよくある疑問


Q1:夕方にカフェインを取っても眠れる日と眠れない日があるのはなぜ?

ストレス・疲労度・その日の睡眠負債などによって、
カフェインの効き方は日によって変わる と言われています。
複数要因が重なると、いつもは眠れる時間でも影響が出やすくなります。


Q2:カフェインはどれくらい “減らすべき” なの?

完全にやめる必要はありません。
朝〜昼は適度に、夕方以降は控えめ、夜はデカフェなど
段階的に調整する方法 が実生活では続けやすいです。


Q3:お酒を飲む日は、どんな工夫をすれば睡眠が崩れにくい?

  • 就寝の3時間以上前に飲み終える
  • 食事と一緒に飲む
  • 水分を適度にとる

など “飲む日の調整方法” を取り入れることで負担を減らせます。


Q4:寝酒をやめたいけれど、代わりに何をすれば?

寝酒を“リラックス手段”として使っている人は、
代わりに以下のような方法が役立ちます:

  • ぬるめの入浴
  • ストレッチ
  • 読書
  • 深呼吸

「緊張をほぐす別の選択肢」 を用意しておくと、徐々に寝酒を避けやすくなります。


Q5:寝る前のシャワーや入浴は眠りに影響しますか?

はい、条件によっては影響します。

  • 熱いシャワー
  • 熱い風呂(42℃以上)
  • 長風呂

これらは深部体温が高くなりすぎ、
寝るタイミングで体温が下がりにくくなることがある とされています。

一方で、38〜40℃のぬるめのお湯に10〜20分、寝る90分前
というパターンは、体温の“反動下降”が起きやすく、入眠に向きやすいと考えられています。

受診の目安——こんな場合は医療機関での相談を

  • 2〜4週間ほど、睡眠の質の低下が続いている
  • 日中の強い眠気や集中力低下があり、生活・仕事に支障が出る
  • いびき、呼吸が止まる、むずむず脚などの症状を伴う
  • カフェインや飲酒量を調整しても改善しない
  • 不安が強く、自分だけで調整が難しいと感じる

詳しくは「睡眠の受診目安ガイド」をご覧ください。(内部リンク)


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この記事を書いた人

Dr.Toki(医師)
臨床経験10年以上。総合診療・プライマリケア・産業医の視点から、睡眠・疲労・自律神経・生活習慣病など、働く現役世代の体調管理を医学的根拠に基づき解説。日常で再現できるセルフケアを重視。

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